日経BPムック この1冊でまるごとわかる人工知能&IoTビジネス2018-19(発刊:2018年7月)

サブタイトル
著者 日経クロストレンド 編
出版社(定価【税別】) 日経BP社(1,500円)
この「雑誌」は2016年から3年連続で発刊されており、①「キーパーソンの着眼点」、②「注目キーワード解説」、③「業界・業務別ケーススタディ」の項目は継続して掲載されている。

今号の①では、元駐日米国大使で現在はベンチャーキャピタリストのジョン・ルース氏による「人口減少により生産性向上が待ったなしの日本は、AI脅威論があまり議論されていないがゆえに、普及・拡大の大きなチャンス」との視点が紹介されており、興味深い。

②をみると、同じ項目でも「書きぶり」がかなり変わっている。2016年版の「IoT」では「こんな分野で採用されている」だったが、今号では、PoC(Proof of Concept:概念実証)の段階で留まるケースが多い現実を打破するために、現場の業務で「何をデジタル化する」とともに「デジタル化して何をするのか」の深い洞察が求められる、と指摘している。

③で採り上げられた5つのテーマ「スマートスピーカーの活用」「モビリティ革命」「データドリブン集団・阿里巴巴(アリババ)」「勘と経験よりデータを使ったAI予測」「企業AI人材の育成」のすべては、今のビジネスパーソンにとって頭に入れておくべき内容であり、決して他人事ではないと考えなければならない現状を提示している。

「この程度は知っておかないと…」と煽っているトレンド雑誌、と見る向きがあるかもしれない。しかし、今後のビジネスにおけるIT化の可否に当たっては、最低でも「この程度」は知った上で判断すべきであろう。この分野の入口を知るには格好の材料であり、気軽に手に取ってもらいたい。(蔭西義輝)