Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ!(発刊:2018年8月)

サブタイトル IoTの活用により、たった3年で「未来のファクトリー」となった町工場の構想と実践のすべて
著者 木村哲也

旭鉄工株式会社代表取締役社長

iSmart Technologies 株式会社代表取締役社長

出版社(定価【税別】) 三恵社(1,500円)

 

年商150億円規模の「町工場」である旭鉄工は、安価な汎用センサーを使った簡易なIoTシステムを自作し、これを既設の旧式機械に取り付けることで設備の更新に多額な費用をかけることなく生産の大幅な効率化を実現した。更に、このノウハウを外販するための新会社(iSmart Technologies)を設立し、他の中小企業へのIoTシステムの販売やコンサルタント事業を展開している。

IoTシステムの導入により自社の工場が抱える課題(機械の停止時間が長く、稼働率が思っていた以上に低いことや、同じ製品であるにもかかわらず、できあがるまでの時間が長くかかる製造ラインがあることなど)が明確化する。次に、この課題に対し、現場力を活かして「改善」を加える。「改善」の効果が定量化されるため、最も適切な「改善」策を選択することが可能となる。残された課題に対し、再び改善を加える。このプロセスの繰り返しが同社の「出来高69%アップ、ライン増設不要、平日残業ゼロ」などの、驚異的な成果につながった。本書では、IoTシステムの導入に至るまでのいきさつと、システムを活用した「改善」を進める過程における現場の奮闘や木村社長のマネジメント振りを生々しく描く、貴重な記録である。

本書で紹介されるIoT活用の取組みは、ものづくり中小企業における事例であるが、IoTシステムを活用した業務改革を検討しているすべての中小企業にとって、大いに参考になるだろう。(荒木光二郎)